
writer:ゆりの(@yurino_room)
2016年の年末わたしの家がざわついた。
姉がフリーランスのカメラマンになるというのだ。
「自分のしたいことがある。だから、会社には就職しない。」
当時、高校3年生のわたしは高校を卒業すれば大学に行って就職をするという一般的な考え方だった。だから、姉の言っていることがわからなかった。
なんども連絡してせっかく専門学校を卒業したのだからと就職を進めた。
それでも、姉の決意は固くフリーランスのカメラマンとして生活することになる。
自分のやりたいことをする。写真が評価されることを目指しながら生きていくこと決めたのは、わたしの姉、内田汐音(ウチダ シオン)21歳だ。

カメラを始めたのは専門学校を卒業する9ヶ月前。
経験も実績もほぼない状態での独立をどのように決意してどんな葛藤があったのか。
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フリーランスという生き方しか残されていなかった
ーまず、なんでフリーランスとして生活することを決めたの?新卒でフリーランスになるのって結構ハードル高いことだと思うんだけど。
フリーランスを決意した時は不安で仕方がなかったよ。家からの仕送りもないから、全部自分が払わないといけない。だけど、自分がしたいことで生きていくことは曲げられなかった。
でも、高校の時にバイトを掛け持ちしてて、やばくなったらバイトをすればなんとかなるとわかったから挑戦できたかな。

基本、適当。ノリ。今考えてたらわたしすごいことしてるね笑
カメラ始めて9ヶ月しか経ってないのに独立するってほんと何も考えていない証拠だ笑
ーライブカメラマンっていう印象があるんだけど、どんな写真を撮っているの?

メインはインディーズのバンドのカメラマンをしている。元々*インディーズバンドが好きで自分がライブハウスで働くようになったんよ。それから自分が企画したライブで写真を撮らせてもらったのが最初。
インディーズとは。
主にある業種において「メジャー(大手)」に属さない、独立性の高い状態を指す言葉。
ーweblio辞書から引用
今は、人を撮りたいって強く思うようになったからポートレートやブライダルとかの写真を撮ってる。でも、比較的に自分の写真が評価されるのは風景のことが多くて少し自信がなくなってきた。
ライブでわたしが写真を撮ってもSNSで拡散もしてくれない人もいる、それを見ると自分の写真は下手だったのかなと思って悲しくなることはよくあるよ。
今は、仕事がきたら何でもやる。だけど、後々はポートレートとかにシフトしていきたい。

需要と供給が難しいんだよね笑
フリーランスになるという決断ができたわけ
ー全くの素人からのフリーランスとして独立するのは勇気がいったと思うんだけどその時、どんなことを考えていたのか教えて欲しい。
元々、高校の時にクラスメイトがライブカメラマンをしてたの。わたしはバンドに興味があったからその子と仲がよかった。

専門学生の時にライブハウスでバイトを始めて趣味でカメラを買ったんだよね、それからバンドマンを撮るようになったんよ。ライブカメラマンって高校生の時でもやってた友達がいるんだからわたしもできるっと思った笑
元々、映画の予告編を作りたいっていう夢があったから専門学校に行ったけど、自分がしたいことが変わっていってミュージックビデオ(以下MV)を作りたいと夢がシフトしていった感じかな。
MVを制作する会社に就職しようと考えたけど、会社自体はあるけど、結局MVを作るのはフリーランスの人たちが集まって作ったりするからそれなら会社に所属する必要はないかなって。
自分がしたいことが会社に所属してできるものではなくてあくまで個人のスキル重視になってくるから流れでフリーランスになった。

わたしはカメラマンになるしか興味がなかった。自分がしたいことがクリエイティブな仕事でスキルを売っていくフリーランスならそれでも構わない。バイトでも生活できるし、したいことができるならそれでもいいと思えた。
不安はある、だけどそれをいってたら何も始まらないと思った。
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フリーランスと仕事の話
ーフリーランスって自分で仕事を取ってくるってイメージ。シオンはどこから仕事をもらってくるの?
わたしはほとんどTwitterで仕事をもらうかな。
ライブカメラマンをしているからいろんなバンドの人からDM(ダイレクトメッセージ)で連絡が来る感じ。
バンドの専属カメラマンとかもしてたけど、自分の生活もあってバイトをしないといけないから専属カメラマンは辞退したんだけどね。
いまどきSNSを活用しないといけないなと思っているんだけどなかなか運用は難しい。
どうやってリピーターになってくれるかっているのは問題。一回きりの仕事とかも多いから、自分の写真の技術が下手だったのかなと思ったりしたら結構落ち込む。

わたしには映像(MV)が作れるという強みがあるからこれからはもっと映像にも力を入れようと考えている。
どこでもお金というものはつきまとって来て、自分の生活のお金や奨学金を返さないといけないし、なかなかアルバイトなしでの生活は怖い。時間もあまり取れないから、もう少しカメラと向き合う時間も欲しいなと思っている感じかな。
写真の評価はSNSのいいねで決まってしまう
ーこれから会社に勤めて働くという選択肢はあるの?
それはないかな。会社で働きたくないというわけではなくてわたしのカメラのメインはインディーズのバンドを撮ること。基本的に平日の夕方からライブがあるから仕事をしていたらきついんだ。
それなら、バイトをした方がまだ時間の融通がきくなと思った。
ー写真って資格とかもないし受け取る人の価値観で評価も変わってくると思うんだけどそれに関してはどう思う?
自分の写真を好きになったことがないんだよね。もっといい写真が撮れたのにって反省したりすることも多いし、写真を撮っても評価してくれる人がいないとすごい苦しい。逆にわたしの写真が好きっていってくれる人がいたらすごく嬉しい。

感情の起伏が大きいからこの仕事をやめようかなと思ったことはたくさんあるよ笑
評価基準がSNSになっているって感じはある。自分の撮った写真をアップしていいねの数で評価されている基準になってる。
だから、自分が撮りたいのは人なんだけど風景の方が評価されているっていったのは、完全にいいねの数が風景の写真の方が良かったてこと。
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フリーランスになる人に向けて
ーフリーランスになりたいと思っている人に向けてアドバイスある?
フリーランスはあまりオススメではない。
正直、病みそうになることはたくさんある。自分の作品がなかなか評価されなかったり、お金の不安は常に付きまとってくる。
自由には責任が伴うからね。
それでも、私みたいに『自分がしたいことだけを突き詰めていきたい』とか『自分のスキルで生活したい』って思っている人はまずは挑戦してみて欲しいです。あくまで自己責任で笑
***

高校の時に姉が言っていた、フリーランスになるという言葉が今では違ったように感じた。
自分が好きなことに挑戦している姉がかっこよくて、姉がフリーランスという選択をしたから私も抵抗がなくフリーランスになれた。とても感謝している。
フリーランスのカメラマンになるにはスキルよりも熱量だと姉のインタビューでわかった。人とのつながりや、意思の強さも必要。
姉がとってくれた私の写真は、いつもより自然な笑顔で笑えているような気がする。

姉は大阪でカメラマンをしています。興味があれば連絡願いします。
記事に載せている写真は姉が写っていない写真全て姉が撮っています。
インタビューの記事はこちら▼
アセクシャルでエックスジェンダーの彼氏に彼女がインタビューしてみた
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